マネーローンダリング及びテロ資金供与防止のための基本方針
(目的)
第1条 本規程は、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号、以下「犯収法」という。)に基づく取引時確認及び疑わしい取引の届出(以下両者を併せて「取引時確認等」という。)に関する内部管理態勢を構築することが組織犯罪による金融サービスの濫用を防止し我が国金融に対する信頼を確保するために重要な意義を有していることに鑑み、取引時確認等に関して留意すべき事項を定めることを目的とする。
(取引時確認等の対応部署及びコンプライアンス担当者)
第2条 取引時確認に係る責任部署はコンプライアンス部とする。
2 疑わしい取引の届出に係る責任部署はコンプライアンス部とする。
3 コンプライアンス・マネージャーを取引時確認等に係るコンプライアンス統括責任者とする。
(管理態勢の整備)
第3条 取引時確認及びマネロン・テロ資金供与(特に顧客管理)等に関する問題が発生した場合には、発生部門からコンプライアンス部に対して速やかに報告及び相談するものとし、コンプライアンス部において当該問題を一元的に管理するものとする。
2 コンプライアンス部は、取引時確認等に関する問題に対応するため、本規程の各条項に基づく態勢を整備するものとする。
3 コンプライアンス部は、問題の性質、重要性その他の事情を踏まえ、必要に応じ、社長に報告し、社長と共同で問題の対応を検討するものとする。
(特定事業者作成書面等の作成)
第4条 コンプライアンス部は、国家公安委員会が作成・公表する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案し、取引・商品特性や取引形態、取引に関係する国・地域、顧客属性等の観点から、自らが行う取引がテロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクについて適切に調査・分析した上で、その結果を記載した書面等(以下「特定事業者作成書面等」という。)を作成し、定期的に見直しを行う。
2 コンプライアンス部は、特定事業者作成書面等の内容を勘案し、必要な情報を収集・分析するとともに、保存している確認記録及び取引記録等について継続的に精査する。
3 コンプライアンス部は、特定事業者作成書面等も踏まえつつ、リスクに応じた適切な取引時確認の方法を採用する。また、コンプライアンス部は、テロ資金供与やマネー・ローンダリング、資金移動サービスの不正利用といった組織犯罪等の手法や態様の高度化・巧妙化を含めた環境変化や自社又は他の事業者における事件の発生状況を踏まえ、定期的かつ適時にリスクを認識・評価し、取引時確認の向上を図る。
4 コンプライアンス部は、顧客受入れ方針を策定するとともに、顧客管理や取引記録等の保存に関する具体的な手法を策定することとする。また、策定した方針・手法については、定期的又はテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策に重大な影響を及ぼし得る新たな事象を把握した際に見直しを行うこととする。
5 コンプライアンス部は、特定事業者作成書面等に基づく顧客リスク評価に応じた頻度による顧客情報の調査等、継続的顧客管理の方針を策定し、確実に当該方針を実行することとする。また、顧客リスク評価に影響を与える事象が発生した際に、顧客リスク評価を見直すこととする。
(従業者採用方針)
第5条 当社は、取引時確認等の重要性を理解し、本規程に基づく取引確認等の実施を適切に行うことができる者を従業者として採用するものとする。
(コルレス契約)
第6条 コンプライアンス部は、資金移動サービスの提供に関し、コルレス契約の相手方(以下「コルレス先」という。)について、利用者基盤、業務内容、現地における監督態勢、架空銀行(いわゆるシェルバンク)でないこと、架空銀行との取引を行っていないことその他の事情をコンプライアンス・マネージャーに報告し、コンプライアンス・マネージャーと共にコルレス先として適正かどうかを確認するものとする。
2 コンプライアンス部は、コルレス契約を更新その他継続する場合においても、前項に準ずる手続きを行うものとする。
(社内マニュアルの作成)
第7条 コンプライアンス部は、当社に適用される犯収法を遵守するため、犯収法の規程に沿って、取引時確認等に関し、確認方法、記録の作成及び保存、報告方法及び定期的な検証等の対応について定める取引時確認等マニュアル(以下「取引時確認等マニュアル」という。)を作成するものとする。
(取引確認)
第8条 従業者は、取引確認等マニュアルに規定される取引時確認が必要な場合について、取引時確認等マニュアルに規定される確認方法によって、取引時確認を行うものとする。この場合、犯収法上の取引時確認義務の履行に加えて、我が国を含めた関係各国による制裁リスト等を照合するなど、受け入れる顧客のスクリーニングを適切に行い、各種リスト更新時には再スクリーニングを実施するものとする
2 従業者は、第1項に基づく取引時確認を利用者が拒絶する場合、当該利用者に対しては、資金移動サービスを提供しないものとする。
(リスク評価書)
第9条 従業者はリスク評価書の内容を勘案して、犯収法に基づく取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を行うに際して必要な情報を収集するとともに、当該情報を整理し、及び分析し、リスク評価書の内容を勘案し、確認記録及び取引記録等を継続的に精査する。
2 コンプライアンス部は、確認記録の正確性や適切性について適時に検証するものとする。
(取引記録の作成及び保存)
第10条 コンプライアンス部は、取引時確認等マニュアルに規定される確認記録の作成及び保存の方法に基づき、第7条の取引時確認に係る確認記録を作成し、保存する。
2 コンプライアンス部は、取引記録の正確性や適切性について適時に検証するものとする。
(取引記録の作成及び保存)
第11条 コンプライアンス部は、取引時確認等マニュアルに規定される取引記録の作成及び保存の方法に基づき、取引の取引記録を作成し、保存するものとする。
(疑わしい取引の届出)
第12条 従業者は、取引時確認等マニュアルに基づく方法によって、取引時確認等マニュアルに規定される疑わしい取引その他社内報告が必要とされる事項を発見した場合、取引時確認等マニュアルに規定される疑わしい取引の社内報告手続に従い、直ちにコンプライアンス部に当該取引を報告するものとする。
2 コンプライアンス部は、第1項に基づき報告を受けた取引について、取引時確認等マニュアルに基づき届出を必要と判断した場合には、取引時確認等マニュアルに規定される方法によって金融庁に届出を行うものとする。
3 コンプライアンス部は、第1項に基づく報告を受けた場合、その報告内容について記録を作成し、管理するものとする。
4 コンプライアンス部は、第1項に基づく報告を受けた場合、疑わしい取引の届出以外にも、問題の原因を究明し、利用者からのヒアリングや再確認その他の方法によって、適切に対応するものとする。
5 コンプライアンス部は、取引モニタリングにおいて、各顧客リスク評価も踏まえ、適切に敷居値が設定されているかを検証する。また、ビジネスモデルを踏まえ、疑わしい取引を検知するためのシナリオが適切に設定されているかも検証する。
6 コンプライアンス部は、届出をした疑わしい取引事例や届出に至らなかった事例を分析し、届出に至る調査が適切か、定期的にシナリオ、敷居値の見直し作業を適切に行っているかを検証する。
(厳格な顧客管理)
第13条 コンプライアンス部は、取引時確認等マニュアルにおいて、以下の各号に掲げる場合その他法令等により厳格な顧客管理を要する場合について、通常の取引よりも厳格な方法で確認する手続を定めることとする。
(1)取引の相手方が関連取引時確認に係る顧客等又は代表者等になりすましている疑いがある場合における当該取引
(2)関連取引時確認が行われた際に当該関連取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等との取引
(3)犯収法施行令第12条2項に定める、犯罪による収益の移転防止に関する制度の整備が十分に行われていないと認められる国又は地域に居住し又は所在する顧客等との特定取引等
2 従業者は、前条に定める取引時確認に加え、前項に定める場合には、取引時確認等マニュアルに従って必要な確認手続を行わなければならない。
3 前項で定める厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引、犯罪による収益移転の危険性が高い取引及び、テロ資金供与やマネー・ローンダリング等の危険性の程度が高いと認められる取引を行う際には、統括管理者が承認を行い、特定事業者作成書面等を作成し、確認記録又は取引記録等と共に保存しなければならない。
(利用停止)
第14条 コンプライアンス部は、捜査機関等から資金移動サービスに係る為替取引が詐欺等の犯罪行為に利用された旨の情報提供があった場合その他の為替取引について犯罪行為が行われた疑いがある場合、コンプライアンス・マネージャーの承認の上、以下の各号に掲げる措置を必要に応じて採るものとする。
(1) 速やかに犯罪行為に利用された疑いのある当該為替取引を停止する措置
(2)口座開設契約等を締結している者が当該契約を犯罪行為に利用していると疑われる場合には、その者に対する資金の払出しを停止する措置
(調査嘱託等)
第15条 コンプライアンス部は、資金移動サービスの不正利用に関する裁判所からの調査嘱託や弁護士法に基づく照会等が当社に対して行われた場合、守秘義務の観点も踏まえながら、適切に対応するものとする。
(周知徹底)
第16条 コンプライアンス部は、本取引時確認等を適切に行うために、従業者に対して周知徹底を行うものとする。
2 コンプライアンス部は、周知徹底に際して、対象となる担当従業者が以下の事項について正確な認識をすることができるように留意して行うものとする。
(1)取引時確認等の方法並びに確認記録等の作成及び保存方法
(2) 疑わしい取引等が発生した場合の報告方法
(3) その他取引時確認等に必要となる事項
3 従業者に対しての周知徹底方法は、以下の方法によるものとする。
(1)社内研修等の実施
(2)文書、Eメール等による社内規則等の内容の通知
(3) 社内の情報掲示板に社内規則等を閲覧可能にしておく方法
(4)その他コンプライアンス部が定める方法
4 前項で掲げる周知徹底については、最低年1回実施するものとする。
(取引時確認等に係る業務の検証・監査)
第17条 コンプライアンス部の内部管理担当者は、本規程に係る業務について、取引時確認等マニュアルに基づく取引時確認、疑わしい取引の届出が適切に行われているかの確認及び監査を行う。
2 コンプライアンス部の内部管理担当者は、前項に定める方法を用いて実施した当該業務に係る確認及び監査内容について、年1回、コンプライアンス部に報告するものとする。ただし、個々の状況に応じて速やかに報告する必要がある場合においては、この限りではない。